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そりゃ公文書館は集客施設じゃないんでね…

 ・京都新聞 「京都府立総合資料館再生へ あり方検討委骨子案」 (2007.8.19)

 つまり、図書館機能と博物館機能がなくなって、公文書館機能だけになったら利用が激減したと。
 「ま、当然でしょう」と思うのは自分が公文書館に勤めているからであって、「入館者が開館初年度の約3分の1(06年度、1日平均257人)に減っている」とあれば、施設機能の弱体化としか捉えられないのが普通だね(でもうちは257人なんて1月平均に近い月もあるぐらいなんだけどな…)。「資料館の役割が不明確になり」なんて書かれてしまうぐらい、世間様には公文書館なんてマイナーなんですよ、日本では(よほどアメリカのNARAの方が日本国内でも有名で、新聞掲載率も高いんじゃなかろうか…)。

 しかし、公文書館としての京都府立総合資料館は私はいい仕事してると思ってて、例えば「慶応3年から昭和21年度までの行政文書約1万5千点が、平成14年に重要文化財に指定」(資料館HPより)されるなど、公文書の歴史的価値と保存の認識という点においてはさすがに伝統ある公文書館だと。(まぁ、こういう活動が一方では閲覧などの資料利用に影響を及ぼすというのも事実なんだろうが…)

 うーん、公文書で闇雲に人を集めるという発想は捨てた方がいいのではなかろうか。少なくとも明治期以降の公文書では無理だよ、展示でも閲覧でも(まあ、せいぜい現代資料なんかだと、「県職員の汚職と不正の歴史」と題して歴代知事や職員の不祥事絡みの文書から公費で芸者呼んで遊んでた出張復命書程度のささやかなものまでを並べて好奇心煽りゃ集められるでしょうが…)
 いま、本当に本当ちょっとしただけどアーカイブスブームで、新規なところは張り切って公文書でがんばろーとするんだけど、結局は古文書や古地図なんかの歴史資料でしか人が集まらないことに気がついて、そちらへシフトしてしまうか、人集めは諦めるかのどちらかではないだろうかな、色々見たり聞いたりした範囲では。記事中の提言で「利用目的を制限しない閲覧制度の導入」ってのは、現状がどうなってるのかよく分からないんだけど(貴重資料の利用は狭義の研究目的だけってことかな?)、公文書館として開かれた施設になれってことなんだろうかな。いずれにせよ、委員の先生には公文書館というものの認識があるようで、うらやましい限りです。