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先にサービスレベル向上が義務づけられた指定管理者制度導入?

 毎日新聞 「徳島市立図書館:指定管理者制度を導入 コスト削減狙い」 (2007.5.29)

 タイトルもサービス向上ではなくコスト削減なんね。
 しかし、当然来年度予算である委託料の枠組みも未定、指定管理者制度導入の議会承認すらまだの段階で何故「これまで午前9時〜午後6時だった供用時間は、平日(火曜日除く)は午前9時〜午後8時、土日は午前9時〜午後7時に改められ」「同館職員19人のうち、司書は2人のみだったが、導入後は最低でも半数以上の職員が司書となり、館長職も司書が務める予定」ということが公言できるのかしらん、かなり不思議。もちろん、市が指定管理者に求める最低限のサービスレベルとして公募の際に仕様に謳うことはできるけどさ、開館時間延長なんてのは応募者の提案からじゃないかなぁ…そもそも、今の図書館事業費より増額される訳ではなかろうに、これだけ欲の皮突っ張らせるとなると、市は相当な非正社員化を指定管理者に「強要」するって図式になるけど。ま、そんなことは分かりきった話なんだけど、今の2人の司書は非正規職員なんだろうかとか、残りの職員17人は今までどういう働きぶりだったんだろうかとか、まぁくだらぬ想像はどこまでも続くのだけれども、それはそれとして。
 なんとなく、どこが指定管理者となるのかという「想定」はしっかりなされている気がする(内定…とまでは言わないけど)。Tの付くとこかどうかは知らないけど、司書を2人からいきなり館長含めて過半数にするってんだから、今いる人たちを外郭団体に出向させてという話ではないし、現在の図書館予算から10%程度引いた額を委託料とすれば、某社ならそれぐらいの運営になるだろーなー、という推測が成り立つな。ま、だからどうしたという程でもないけど、なんか市のこういう手法とマスコミへの情報の流し方が、プロポーザル型入札(これは指定管理者公募なんだけど、それこそサービスレベルや内容なんて本来提案型の公募でなきゃ意味がない)制度の原則から考えてもちょっと適切じゃない気がするなぁ。そういえば、静岡市立の指定管理者制度導入反対でがんばって記事書いてたのは毎日新聞だったと記憶しているのだが、今回のこれはあっさり市の言いたいことだけ伝聞してるな。地方記者ではあんまそういう意味での統一はないんだろうけど。
 さて、さんざ指定管理者制度導入に否定的な書き方をしてきたけど(だからといって反対運動に荷担するような意図はサラサラないけど)、最近ちょっとマジで相当なメリットになってきたなと感じるのが、予算枠を3年なり5年なりは固定できるなぁということ。説明すると、自治体と指定管理者とは基本的に複数年契約を締結するのだが、お役所会計で複数年契約を締結するということは、債務負担行為(つまり契約が終了するまでの支出を議会承認で確約すること)を設定することになりまして、これがあると契約終了まで予算枠固定ということですわ。こんなん昔からメリットとして考えられていたわい、とお思いの向きもあるでしょうが(その昔、桑名市立のPFIの事例発表を聞いたときに30年予算固定ということが大きなメリットだと言っていたっけ)、最近の自治体の予算減率は相当なもんで、たとえば私の県だと前年比20%カットで予算を組んで成立させておきながら、新年度になった途端更に20%を執行保留(予算あるけど使っちゃ駄目)というとんでもない状態に陥っている訳で(これはこれでどういう予算組みしてるんじゃと言いたいところだが、まぁ選挙対策やらなにやら大人の事情があったと思われ)。そんな中で指定管理者への支払は執行保留は免除になっているのが唯一の救いなんで、そういう思いを新たにしたと。ほんと、この先地方財政は恐ろしいことになるんだなぁ、とようやく危機感を持ったけど、この場合真っ先に切り捨てされるのは日本の場合、文化であり生涯学習であり教育だからね。指定管理者制度が僅かながらその辺の延命には貢献するだろうなぁと思いつつ、もはやそんな小手先ではどーにもこーにもならん事態に陥るのは明白なんだよね。
←そう書きつつも、なんで自分ところが指定管理者制度のくせに複数年契約じゃないんじゃ、おかげで毎年予算減やんけという状態なんだけど(県と外郭団体の「なれあい」の産物だということで理解はしているが、なんだかな)。早く外郭団体見直し&天下り撤廃で「潰れ」ないものだろうか、この体制…