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職員録の閲覧を制限し、知る権利を保障する方法

 ・北國新聞 「「閲覧制限」に温度差 県内図書館、職員録など 元次官宅襲撃で」 (2008.12.7)

 まぁ、どの記事でもよいのですが…

 これを機に職員録を廃棄する図書館が出てくるのでは、という低次元な懸念もあるのですが、その職員録を「今すぐ」閲覧できないことが、知る権利の侵害になるのかどうかは、よく考えた方がいいのではないでしょうか。

 つまり、公務員の所属、役職、氏名、職場の電話番号等は時代に関係なく非公開とすべき情報でも、個人情報でもない(警察など一部は除かれるが。あとメールアドレスは微妙。)。しかし、自宅の住所、電話番号等は公務員と言えども個人情報。
 以上が、現在の一般的な、公務員の個人情報に対する認識だろう。

 しかし、これを整理することなく、幹部職員の氏名をHPから削除する省庁あり、職員録を見せる見せないで揉める図書館あり。

 何年前の職員録なら無条件に利用可能とするかは非常に難しい判断が必要だが(100年前の職員録をどうするのか、50年なら、25年なら…と考え出すと一律に線を引くのは難しいのだ)、ともかく図書館は職員の住所・電話番号を隠して提供すれば問題はないのである。

 ということで、そのまま閲覧に供するのは不可だが、その部分を隠してコピーすることは可能だろう。
 つまり、利用者の求めに応じ、住所、氏名、利用目的、コピーが必要な部分(いつの時代のどの部署の部分か)を記した複写申請書を提出してもらい、住所等を隠して該当部分を図書館側がコピーして(本来、図書館コピーは著作権法上、コピー主体は図書館なのだから問題ないよね)申請者に渡す、ならどの方面からも問題ないし、(NDLは件数過多になるかもしれないが)公共図書館なら対応可能だろう。忙しくて無理というのなら、後日コピーを渡せばいいだろうし。

 何故、こういう対応をするという話が聞こえないのだろう。一度、鍵掛けて閉じこめてしまうと、いつまでもそこから資料は出てこない事になるだろうになぁ…

 資料価値もそうですが、個人情報や非公開情報の内容や範囲も、時代と共に変化することを、ライブラリアンは自覚するべきです。