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公共図書館への指定管理者制度導入反対意見に見る危機感

 朝日新聞「図書館指定管理者 市川市議会委員会で否決」(2008.12.3)

 公共図書館への指定管理者制度導入阻止の成功例にせよ、失敗例や現在の反対運動にせよ、根本的に「民営化反対」の感情論が先行しているように見受けられる。もちろん今回の市川市も含め、成功例と失敗例の分岐点として、その図書館機能や運営内容が住民に評価されたか否かがあるのは事実だが、それでも文化施設に採算性は云々…という反対意見は必ずある。

 既に『公共図書館の論点整理』等でも指摘されているが、現在の公共図書館は職員の非正規化が自治体の他部署に比べても随分進んでいるのに加え、施設管理、資料装備、システム開発・運用、カウンター業務等々、多くの部分を外部委託している。想定する指定管理業務の範囲が如何かという所はあるが、今回の市川市のように、(恐らく)既にその大半を委託している業務を指定管理に移行することに対し、やれ民営化がどうと言ったところで、現状との比較という範囲では論点にはできないはずである(現状の外部委託もけしからんという論は可能だが、今更そこまで逆行する合理性はない)。また「図書館サービスを評価する声が続出」とあるが、どうもこの評価部分は今回想定していた指定管理業務の範囲外のサービスのようであり、図書館の実態や市側の案を精査しないまま、上記の感情論から反対意見が醸成されたのではないかと推察している。この論点の齟齬が、いま私がすごく違和感なり、危機感なりを抱いている部分である。特に、この方法での阻止成功例が重なってくると、現場までも感情論のみに流れる動きが更に加速し、ひいては旧態依然の公共図書館が抱える大きな問題は表出しないまま、結局何も解決されないという結果に陥るであろう。

次エントリに続く)