鳥取県旅行記

 祝日代休などで平日2連休をもらったので、思い立って鳥取に行くことにしました。目的は、鳥取県立図書館の資料展示「まんが王国・鳥取」。鳥取県出身の漫画家30人を所蔵資料などで紹介するという趣旨の展示です。鳥取県は出身の漫画家が多いということで、マンガにまつわる町興しや文化振興が盛んなのですが、ただ単にマンガ、マンガと騒いでいる岐阜県とは厚みが違うのです。岐阜県はこんなに郷土の漫画家を大事にしてませんよね?県に関係ない有名人に飛びつくだけが能じゃないと思うのですが…(以下略)
 泊まりは皆生温泉か三朝温泉で迷いましたが、放射能泉というものを経験してみようということで三朝温泉に決定。ちょうど安い宿もありましたしね。
(2005年10月11日〜12日)


10月11日(火)

 鳥取というところは交通の不便なところです。鉄道で行くにしても名古屋から新幹線・特急を乗り継いで4時間以上、車で行くにしても鳥取市へは高速道路が乗り入れておらず、かといって飛行機で行くほどの距離でなし…ということで、一般道を中心に車で行くことにしました。
 朝6時に出発。国道21号、365号を経由して滋賀県に入り、国道303号(途中8号、161号重複あり)沿いに福井県へ、国道27号に合流して小浜を目指します。朝早い郊外の一般道なので、スムーズに走れるかと思いきや、トラックなどの遅い車に阻まれて思うように距離が伸びませんでした。昼の12時頃には鳥取に着きたいと思っていたため、小浜西インターから舞鶴若狭自動車道に乗ります。高速はがらがら。北陸自動車道と接続すれば利用が促進されますやら…約40分で福知山インター到着。あとはひたすら国道9号を鳥取まで走ります。渋滞はないながらも至る所で道路工事で片側通行。結構いらいら。冬前に工事を終わらせたいということでしょうか?途中、道の駅農匠の郷やくので枝付き黒豆を買ったのですが、家で塩ゆでにしたらとてもおいしい。茹でた姿は腐って黒くなった枝豆、なのですが、さすが丹波の黒豆です。
 何やかやで鳥取に到着したのは12時30分。まずは鳥取砂丘に行ったのですが、あいにくの雨模様。雨の砂丘見学は辛いなぁ、と思いつつ、とりあえずご飯を食べて様子見です。砂丘会館というドライブインの食堂で日本海丼とイカ刺し丼を注文。ま、こんなところの食堂だし、1,050円という良心的な値段から考えても味はこだわりません、と思ったら意外といける。15分程でさっさと食べ終えたところで外を見ると…大雨になってます。時間もないし行くか、と覚悟を決め、傘を差しつつ砂丘に向かいます。足下が不安だったので、鳥取砂丘美化センターでサンダルを借ります。いざ、砂丘へ。一緒に写真を撮るだけで100円とられるというラクダは雨でいませんでしたが、砂丘の斜面を上り下りさせられている馬車は営業中。馬とラクダの扱いに差がないか?という疑問が…
 雨の中、海に向かってひたすら歩きます。馬の背と呼ばれる山を登り切ると、目の前に日本海が開けます。絶景かな。このまま斜面を下り海岸まで行きたかったのですが、結構な角度の斜面で途中で断念。時間があれば遠回りして海まで行けたのですが…
 このころになると雨も上がり、傘をたたんで来た道を戻ります。途中、明らかにピンヒールの足跡あり。かなりの猛者?
 ありがたいことに、美化センターでは無料の足洗い場がありました。借りたサンダルと足を水で洗い砂を落としますが、これがなかなか落ちない。何度もボタンを押して水を流すと、周りがべたべたに…掃除のおじさん、ごめんなさい。
日本海丼。
相変わらず食いさしのような気が…
馬の背から見た日本海。
天気が悪かったのが惜しいなぁ。
写真では大したことないように
見えますが、海まで急な斜面です。

 次は鳥取県立図書館へ。県庁のすぐそばなのですね。同じ敷地内には文化会館や公文書館があり、建物も新しく立派です。早速図書館に入り、展示を見ます。…あれ、これだけ?と思ったら見ていたのは廊下にはみ出したサブ展示。メインは展示室の中でした。自分も図書館で展示企画を少しやっていたことがあるので思うのですが、無料展示って気合いが足りなくなりがちなんですよ(←お前だけ?すみません…)。職員も博物館なんかと違って通常業務をこなしながら企画を考えなくてはいけないし。でも、この展示、なかなか面白いです。無料パンフレットが充実していたのも驚きですが、解説がよく書かれていると感心。マンガ好きが書いていることは端々に感じたので、職員も楽しみながら企画できたのかな?と推測。そうでなければ鳥取を舞台にしたマンガをこれだけ提示できませんものねぇ?もちろん、郷土の漫画家を紹介という命題は前提としてあるのですが、企画側も見る側も純粋に楽しいというのは好ましいことです。
 公文書館をちょいとだけ覗いたら、あとは三朝温泉へ。途中、再び大雨に見舞われる。結局、この日の天候は降ったり止んだり。ちょっとツキがない。
 ナビのおかげで無事三朝に到着。今日の宿は「橋津屋」です。事前に宿のホームページで駐車場の位置を調べていたのですんなり車を止めることができました。事前のネット検索では、改装したてできれいであること、またアワビステーキ付きで1万円と格安であること、そして内湯に地噴泉があることでこの宿にしたのですが…
 まず、建物正面は改装して小綺麗になってますが、側面は昔の建て増し跡を残しています。ま、館内は畳敷きで清潔感はありますし、料理も小さいながらアワビがちゃんとついて量も味もそこそこでしたので、1万円なら十分納得でしたけど。
 気に入らない点は、新しくできた別建物の貸し切り露天風呂の温泉が完全に循環&塩素投入であったこと(設備は綺麗なのでよいのですが…)、地噴泉の方の内湯が夜朝とも女湯であったこと(何故入れ替えしてくれないのか)、そして女将とおぼしき女性が客の前でロビーに座って従業員と話をしていたこと、などなど。すみません、小うるさい温泉研究家なのでね…
 ま、上記の通り宿の温泉が不満でしたので、食事後に外湯に行って来ました。三朝温泉には株湯、菩薩の湯という立ち寄り湯と、何と言っても有名な川原湯があります。日も暮れたし川原湯でも…とちょっと思ったりもしましたが、一人じゃないのでやめて、菩薩の湯へ。男湯は他に誰もいなくて、ゆっくりと極上湯を堪能しました。ただちょっと熱かったわな…もちろん放射線を肌で感じられる訳ではありませんが、薄緑のお湯にゆったりつかると、ほんの少しですがぬるっとして肌すべすべ。折角の名湯なのですから、湯はケチらず掛け流しが基本でしょ、と思ったら宿はそうでもないらしい。詳しくはこちらでご確認をば。
 さて、気持ちよくお風呂を出たら温泉街をぶらぶら…でもお店は軒並み閉まってます。夜早いなぁ、と思ったら夜8時30分からという表示を見つける。自分たちの方が食事終えるの早すぎだったようです。そのまま株湯までぶらぶら。結構遠い。お湯の前には地元の人と思しき人たちが世間話。これぞ地元湯だね、と思いながら飲泉場でペットボトルにお湯を汲む。おみやげ。ここのお湯はうっすら塩味。くせはあまりありません。飲むと内側から放射線が効くとか。本当?
 来た道を戻ると、先ほどのお店が開店。ソフトクリームを注文します。お風呂上がりのソフトはおいしいです。あとは宿へ戻っておやすみなさい…
図書館などがある敷地の門。
武家門風です。
宿の夕ご飯。
あわびが…バターと人参で見えんがな。


10月12日(水)

 2日目。特に事前に行き先を決めていなかったのですが、境港へ行くことにして、道すがら北栄町に立ち寄ることに。ここは青山剛昌の出身地と言うことで「コナンに会える街」を標榜して、コナン通り、コナン大橋などの整備やキャラクターの銅像を配したりしております。道の駅「大栄」(ちなみにここは全国で最初に認定された道の駅らしい)に車を止めて、ひたすらコナン通りを南下します。まずは大栄歴史文化学習館へ。コナン関連グッズや原画に混ざり、青山剛昌の幼少時代の作文や絵がたくさん。生前こんなことをされると恥ずかしいだろうなぁ…と思ったが本人も訪れているとのこと。しかし、あれだけ忙しそうな身でありながら地元に還元する活動をこれだけしているとは。何か断れないコネが役場から親にあるのか?などとちょっとうがってみる。入館料100円は安いところでした。町の歴史や民具が隅に追いやられていたのがちょっと気になりましたが。
 コナン大橋や主要な公共施設にはコナンの銅像があります。なかなかやるな。図書館と由良駅まで歩いた後、道の駅まで戻ります。
コナン通りの始まり コナン通りはマンホールにもコナンが。
これだけはっきり写ると著作権が
心配ですが…見逃してね(以下同様)
コナン大橋近くの広場にて
コナン大橋って正式名称? 由良駅にて 北栄町はスイカの名産地でもあります

 国道9号に戻り、境港を目指します。今度は水木しげるロードへ。ここには100体以上の妖怪像があります。あまり水木しげるのことは知らないのですが、それでもいくつかの知っているキャラクター像には感動。水木しげる記念館にも行って来ました。入館料700円は高い、と最初は思いましたが、細部まで凝った展示に十分楽しむ。ただし、小さな子供を連れて行くと泣き出すと思うので要注意です。
 境港駅前の「みなとさかい交流館」でお昼ご飯を食べ(お寿司と海鮮丼、おいしかったが寿司のワサビは効きすぎだったらしい…)、車まで戻ります。それにしても銅像の多いこと。とても全て見ている時間はありません。
 さて、帰る前に植田正治写真美術館でやっている「HOMAGE -オマージュ・植田正治に捧ぐ- 福山雅治/菊池武夫/堀内誠一」を見に行くことに。美術館は大山の麓にぽつんと建ってます。コンクリート打ちっ放しは安藤忠雄設計だぜ、と思いきや設計者は高松伸とのこと。先ほど寄った「みなとさかい交流館」も同じ人の設計らしい。ふ〜ん。最近、山陰の公共建築物って妙に芸術してませんか?
 植田正治のことはあまり存じませんでしたが、美術館でその作品を見て感心してしまいました。福山雅治はどうでもよかった…とまで言うと「いかにも」福山ファンという風情の女性来館者達に怒られるかもしれませんが、時にトリッキーでありながらも常に自然体というスタイルで撮った写真は、年代に関係なく見る者の心を捉えます。地理的に遠くて何度も行けるところではありませんが、機会があればまた行きたいな。逆さ大山、面白かったです。
 とうとう夕方になってしまい、あとは米子自動車道から高速に入り、ひたすら走ること5時間で帰宅。一気に高速を走り抜けると遠くに来ていたことを実感しますね…帰りに閉店間際の伊吹パーキングエリアの食堂に滑り込み食べたラーメンがおいしかったです。やっぱラーメンかよ…
水木しげる記念館 入り口 入り口にはのんのんばあが 館内は撮影禁止なので中庭にて
でも中庭にもこんな立て札が。
「この庭園は妖界につき立入りは
ご遠慮ください」だって。
水木しげるロード沿いには
目玉のおやじランプが点在
水木先生とそれを見守る鬼太郎たち。
新しい像のようです。境港駅前にて。
海鮮丼。
寿司はさびがよく効いてたとか。
植田正治写真美術館の休憩スペース。
大山を見ながらコーヒーで一息。
やっぱりラーメン。
長浜将軍ラーメンが新登場してたよ。

go to index