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首長部局に移管された図書館って…「図書館同種施設」?

 高山市のことを調べてて、あそこは今年度から図書館を市長部局に移管したらしいということを今更ながら知りまして(図書カードは市長が発行するって規則に書いてあったので←いや、実はこの書き方だと、指定管理者が市職員の判断を仰ぐことなしにカードを発行することはできないんで、このままでいいとは思えないのだが…)。

 図書館の首長部局への移管というと、鎌倉市で揉めて議案取り下げで決着という昔の記憶しかなかったのですが、どうやら例の教育委員会不要論者による教育委員会から社会教育を引っぺがせという圧力に文科省が屈服し、地方教育行政の組織及び運営に関する法律を改正して(第24条の2)今年度から文化及びスポーツは首長部局で所管することも可能としたものだから、既にいくつかの図書館が市長部局に移管されているらしい。へぇ、勉強不足でした。しかし、JLAは鎌倉市の時は意見表明したものの、今回の法律改正に対して明確に反対意見を表明していないようだが…。図書館法改正には熱心なようですがね。

 で、自分の記憶を頼り考えると、首長部局に移管された図書館は図書館法上の公立図書館ではないのではないか?という疑問がふつふつ。

 ということで、社会教育法と図書館法を見ると、

 社会教育法第5条→市町村の教育委員会の事務として図書館の設置及び管理が明記
 図書館法第1条→「この法律は社会教育法の精神に基づき…」

 図書館法より社会教育法が優先という位置付けは明確にはないですが、これだけなら市町村立図書館は教育委員会所管でなければならないと思われます。ただ、

 図書館法第2条第2項→「地方公共団体の設置する図書館を公立図書館といい」

とあり、この条項のみを読めば、別に公立図書館は教育委員会が所管しなければならない訳ではない。
 うーん、でも第2章(第10条以下)の公立図書館の条項を見ると、第13条や第15条はどう考えても教育委員会が所管していることが前提なんだよね。やっぱり、首長部局所管という時点で社会教育法の範囲からは外れるのだから、図書館法でいう公立図書館には入らないと解するべきなんじゃなかろうか…。
 だとすると、公立図書館ではない以上、入館料も利用料も徴収可能ということなんだけど…おや?

 でも、図書館法に規定される図書館は公立図書館と私立図書館のみ、でも明らかに私立図書館でもないということは、すでに図書館ですらないということで、せいぜい第29条の「図書館同種施設」ってことに…あれ?

 簡単にぐぐってはみたものの、このあたりの明確な解釈は見つからなかったのですが、どなたかご存じなら教えてください。

 ちなみに文科省から統計委員会に諮問された「平成20年に実施される社会教育調査の計画について」の答申の中では、「図書館調査について、地方公共団体の首長部局所管の「図書館同種施設」を調査対象に含める」「教育委員会が所管する施設だけではなく、首長部局等が所管する同様の機能を有する施設を置く県が存在することから、首長部局等の所管する同様の施設を調査対象に含めることは本調査の趣旨に沿うものであり」とあることから、やっぱり文科省は首長部局の図書館は「図書館同種施設」と解釈しているように受け取れるのですが。これだと上記のとおり図書館法上の図書館ですらないということだけど、そうだとすれば、コピーサービスも「不可」だね。

 まぁ、文科省が地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正だけして、図書館法を放りっぱなしというところなのか、首長部局という時点で文科省が「知らない」ということなのか、分かりませんが、文科省はあくまで公立図書館だと言い張るのかなぁ。

 解釈によっては、将来に向けてかなり微妙な問題を含む事柄だと思います。実に不謹慎ながら法解釈を明らかにするという意味では、著作権者の皆さんに是非、著作権法違反で図書館を首長部局に移管した市を相手に告訴し、裁判に判断を持ち込んでもらいたいものです。

 ※高山市の件はこれが本題ではないので、別途書けたら…

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