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有料化、有料化というけれど

 公共図書館の利用は無料、という前提は法律的に保たれているのみで、どうも最近では理論的、感情的には当然の話ではないらしい。何故無料なのか、そして何故有料にするべきという話が湧き上がっているのかは、ネット上でも方々で専門〜一般利用者的レベルそれぞれ議論されていて、自分の「公共図書館にうるさい」部分からは同意・不同意、ツッコミ、色々意見を言いたくなるのですが、書き出すとかなり面倒なことになるので今日のところは勘弁ということで。
 ただ、あんまり利用しない利用者、及び一応の納税者としては、公共図書館の運営ぐらい100%税金で賄うことがそんなに贅沢なことなのかなぁ、と思う。いや、もちろん今のままの公共図書館に対しては安易にそうは思わないけど(何度も言うが資料を著しく消耗品扱いする運営なら税金返せよと思う)、その用の為に公共的に蓄積された知にアクセスする行為で対価徴収を持ち出すのはナンセンスなことぐらい議論の余地なく当然の共有前提でいいじゃない、と感情的には思うのですよ。それぐらいの社会保障は当然の権利として住民に与えられるぐらいの余力は、日本にはまだ十分にあるはずだと。
 いっそのこと入館いくら、閲覧いくら、貸出いくらで対価を徴収してそれでほとんどを賄えるなら有料化して図書館は独立すればいいんじゃないかと思いますが、そういうことが成立しないからこそ税金で運営している訳で、取れたとしても運営費のうちのほんのわずかだというのに、「収入する」という行為そのものに固執する人たちのために議論をし、(収入することになれば)制度改正し、利用者に説明し、収入事務をし…という時間と労力は、収入に固執するような人種が大好きな「費用対効果」という言葉で照らせばどうなのだろうか。「自治体も収入努力してます」ということを喧伝するためだけのスタンドプレーにしかならんのでは…。きっと博物館が法律的に原則無料でありながら実際には原則有料になっていることも要因としてあるのだろうけど、あれだって大半の施設は入場料では全然賄えていない上に、博物館が利用者に対して果たすべき役割は基本「展示」であって、展示そのものの経費に対する対価と考えれば図書館との違いは明白なはず(当然博物館も保存機能はその役割ではあるが、保存資料を展示以外で直接的に利用者に還元する術は原則ないのが博物館、あるのが図書館・公文書館という違いは相当重要なことだと思うが…)。
 あと、話が逸れるが利用者としてこれだけは言いたい。企業のスポンサー色がない公共文化施設を使う快適さは当然に享受したい、と。指定管理者制度のみならず、博物館にもネーミングライツなんて話が横浜市で持ち上がっているようだが、博物館の内容と無関係に企業名を冠に付けるというはどうなのかな。いずれ図書館にも話が波及するだろうが、なんだか隙さえあれば何でも広告、広告とがっつく姿は、市役所さんよあんたらいつから電○や博○堂になったんだってね。そういう努力が必要なところもあるだろうけど(鉄道やバスなんかは社会一般的に広告収入しても許容されると思うけど)、特に博物館や図書館などは名前が普通なことにも公共性があると考えてほしい。それでも企業から収入する、というのなら事業税の軽重から議論してほしいし、滞納整理をより厳格にすることも考えてほしい。またそのような施設で収入するなら広告事業ではなくメセナ事業的に寄付をいただく方が相応しいと思うけど難しいんだろうなぁ。まぁ、日本の企業論理では文化事業にそれだけ理解がないと言えるのかもしれませんが…。