個別表示

駅前でも駅ナカでも郊外でも、ちゃんと検討した結果ならどれもありですが…

 図書館学徒未満 「駅ナカ図書館は田舎にこそ必要だと思う」

 まずはaliliput様、はてブコメのご返事までいただきありがとうございました。私は県立と市立の区別に常にこだわっておりますので、駅前県立、例えば山梨県立のような話には異常に敏感です(以前のエントリー「中心市街地活性化と県立図書館」「田舎の駅前施設なんだから…」など)。

 「田舎」の捉え方は人それぞれだなぁ、私なぞ田舎=書店1つもない山間部、駅前にビルがある県庁所在地は都会も都会、というイメージなのですが(田舎者ですみません)、いずれにせよ大型書店が身近にない環境なら、便利な場所で市町村立図書館が住民に本との出会いを演出するべき(この場合の本はいわゆるベストセラーや話題の本など本屋がタイムリーに扱うものを含みます)だし、それは十分公共性があることだと考えます。実際県立からすごい田舎の公民館に(たった数箱分ですが)本を持って支援に行くと、時に「今日は県から本持ってくる日だで」と何人もの人たちで賑わうという事態を目の当たりにすると、あぁ本屋がない図書館もないというのはこういうことなのね、とか、一昔前の本しかなくてごめんなさい(それでも喜んでくれるのですが…)、とか感じたりして、ベストセラー貸出万歳(←かなり嘘だけど)という気にすらなったのでありました…。

 閑話休題、公共図書館の立地は地域によって当然違ってくるはずで、その選択肢の1つに駅前・駅ナカがあると思います。だから、地域特性を検討した結果の駅前ならいいのですが、前にも書いたとおり最近の駅前ブームは法律と補助金のみが理由な気がしてどうにも気掛かりではあります。田舎の駅前なら図書館を含む駅施設利用者及び近隣住民のために駐車場問題も考えておけよ、だって自家用車は田舎の重要な交通手段なんだから…というケースがかなり多いし。市町村レベルならまだしも、田舎県の県立が駅前で駐車場が少ないとか有料だと、それでいて利用者の住居地域に著しい偏りがあることが課題ですなどと悩んでいると言われたら「端から県下全域の県民を対象とする気がないんでしょ」という気になるし(←仮定話ですがどこの県立もこういう悩みはあるでしょう)。もちろん市町村立支援という点で相互貸借で利用してもらえば直接来館の必要はないのですが、遠いけどやっぱ直接書架見たいよという県民のことも考慮せなあかんやろ、と。

 結局、立地にせよ収集方針にせよ、公共図書館はそれぞれの地域のために個性的でなければ意味がない訳で、どこそこの県立や市町村立がこうだから、とか法律や補助金がどうという理由だけで運営を決めても住民のためにはならない、ということだと思います。もちろんそれらのファクターも重要ですが、「誰に、どのように利用してもらうか」の具体的なイマジネーションを発端として図書館の有り様は決めて欲しいなぁと感じます(最近の県立と市町村立の役割未分化はこれが行政・住民双方に乏しい結果だと思います)。特に図書館の新設事業で「横並び」「お上の言いなり」のお役所仕事では、後に住民に対して直に大きな不利益を及ぼすことになる気がします。