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県立図書館の推薦本なんてつまんねーって言う子どもの方が大物になるよ、きっと

 大分合同新聞新聞 「児童向け推薦図書リスト HPでも閲覧OK 県立図書館」 (2007.5.2)

 県立図書館の推薦図書…ってのが引っ掛かるのは私ぐらいか。都道府県立に拘らなくとも、「良質な本を読む機会を増やしてもらえれば」という考えは公立図書館には本来馴染まない、というのは時代遅れですか、そうですか。これ見たときも同じ違和感を持ったんだけどな…

 児童書なので一般図書とは多少趣が違うとは思うのですけどね、それにしても昨今の子どもにいい本を読ませようという顕著な動向の中に、図書館が良書を選別して提供するという役割を(自主的か受動的かはともかく)担おうとしているのは、正直「おこがましい」と感じるよ。あんま児童書でこれ言ってはいけないのだろうけど、公共図書館の資料は清濁併せなきゃならないし、子どもに良書(と勝手に誰かが思い込んでいるもの)を押しつけるのは、少なくとも公共図書館の仕事じゃあない。図書館が受け入れる本・受け入れない本の選別をするのは、良書悪書の判断より前に、予算的・面積的要件からすべての本を受け入れられないという理由が先にあるからなんだから(今時誰がそんなこと考えているかと馬鹿にされそうな理論ですがね)。

 前から何度も書いてますが、やっぱり公共図書館の子どもに対して果たすべき役割は「子どもが自分で読みたい本を読めるようにする」ことに尽きる。つまり、図書館には本がたくさんあることを覚えさせ(当然それに対応するだけの本がなきゃだめだけど)、本の選び方(テクニカルな意味での選び方)・読み方(資料を用いた調べものの仕方も含む)・借り方・返し方と館内マナーを覚えさせる、ここまでだよ、全ての子どもに対して教えることは。この後は図書館に来る子どもに対して誠実に対応してあげればいいんじゃないかなぁ…

 昨今の子ども事情を考えるとあまりに甘い考えですか?…そうだよね、きっと。でもさ、昔はこんなに図書館に児童書充実していなかったけど、ちゃんと本好きな子は少なからず養成されてて、図書館司書にあこがれる大人になった人は数知れずな訳で(まぁ大抵は司書になったらなったでガッカリするのだろうけど)、で実際司書になった方々を見るとちゃんと清濁併せた(知識も人間性も?)人物の方が司書向きだったりするんだよな。あれ、話がずれた?

 ともかく、少なくとも県立図書館が一般向けに特定の本をお勧めする手法はやめたほうがよろしかろう、やるなら市町村立がニーズに合わせて細やかに行うべきだろうが、と思います。