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図書館とプライバシーと監視カメラと

 中日新聞 「竹やぶに本1400冊放置 8図書館から無断持ち出し」 (2006.3.15)

 いたずらにしては複数館から盗み1箇所(ではないかもしれないが)に捨てる行為の意味が不明、何か図書館に対する挑戦的メッセージがあるのか、それとも図書館司書フェチが複数館通い詰め、カウンターを見つめているうちに潜在的なかまって欲しいという欲求が資料盗難という行為として発露、で持って帰った本は少し目立つところに放置という犯人の精神構造があるのかもしれない(←妄想仮定及びいい加減な精神分析なので本気にしないように)。

 事件は事件として大変由々しき話ですが、引っ掛かるには文末のこれ↓

「関係者によると、利用者のプライバシー保護の観点から公立図書館内には容易に監視カメラは設置できず」

 いや、職員のみが監視できるシステムであれば、利用者のプライバシー保護は設置できない理由にはなりゃしないと思うんだけど(ま、自動貸出機onlyで貸出データは職員すらチェックできず、開架・閲覧室の利用者を職員は目視でも監視しないような運営ってんなら確かに監視カメラ設置はプライバシーレベルが他の部分と異なってくるであろうけど)。公共施設にそういうものが設置されていいのかという議論なら分かるけど、図書館特有の問題として切り離す考え方はちょっと違うんじゃないかと感じましたが(どの資料を利用しているかまで判別できるレベルのカメラの設置は現実的ではないし)。ちなみに前勤務先には設置してあります、例の一見して分かる人には分かる半球形のが(でも設置してますとは利用者に対しては明示してない)。
 ま、設置に全面的賛成も反対もしがたいのですが、実際資料盗難が多発している現状からは、開架・閲覧室などのパブリックスペースには設置してやむなし、ただし抑止効果も期待して入口でカメラ設置の旨を明示しておくが現実的対応じゃないでしょうか。その場合、遅かれ早かれ恐らく一部の利用者からはプライバシー権の問題を持ち出されるでしょうから、それに対するしっかりした説明責任を図書館は負わなくてはなりませんが(これが面倒で設置してないところが多そうだ)。