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貸出されていない資料を使う者としてのワガママですけど

 今回は、勝手で偏屈な一人の図書館利用者として書くので、いつもお前が話に持ち出している公共図書館の役割やら使命やらということはわざとお構いなしですからして、視野が狭いとかわがままというツッコミはなしの方向で。

 私は大人になってから図書館の貸出証というものを一枚も持ったことがないです(大学の学生証は貸出証兼ねてたけど、一冊も借りたことはない)。子供の頃は地元の市立図書館や学校図書館で本を借りた記憶がおぼろげながらあるものの、成人してからは多分一冊も借りてないんじゃないだろうか。これは、以前から貸出反対!などというイデオロギーの持ち主であった訳ではなくて、借り物の扱いが面倒くさいというのが一つ。例えば飯食いながらでは汚すかもしれないし、寝ながらでは寝入ってしまったときページを折るかもしれんと考えると「座って読むことに集中する」スタイルでないと読めないのが嫌だということ。そんなに潔癖じゃなくてもと自分でも思わなくはないが、読み物(小説、エッセイ、マンガ等々)はいつも寝ころんで何気なく読みたいので、結果本を結構傷めてしまってる。この様に自分の本は物理的に消耗品扱いする質なので、やはり他人様の本は自分で傷めてはいけないという気が先に立ってしまう。あとは純粋に返しに行くのが面倒くさいとか、本を手元に残しておく性質があるとか、一応本を買うのに困るほど困窮していない(学生時代でも喜々としてインスタントラーメン食べながら買った本を読んでいたので、本購入予算の優先順位が普通ではないとは思うけど)とかの一般的な理由もあるにはあるけど。図書館に勤務していてもその辺の考え方は変わらなかったので、単なる食わず嫌いではないと思う。ま、でもこれらは単に「借りない自分」に自己満足しているだけのことであって、だからみんなもそういう本は借りるなよという発想はない。自分がそうしたいから、そうしているだけのことなので。

 んじゃ、図書館行かないの?と言われるとそうでもなくて、特にネットが自由にできない頃はプライベートでも仕事でも調べ物で時々公共図書館に行ったし、最近でも単位等履修生で大学に片足突っ込んでるので、レポート書きの折には利用してます。

 で、そういう利用の仕方をしている者としては、どうして何でもかんでも貸出するねん、ということを感じるの(最初にも書いたけどあくまで利用者としての勝手な意見だからね)。調べ物で図書館行くときって、自分がいらちな性格だからかもしれんが、すぐ知りたいという気持ちで行く(レポートの提出期限ギリギリに動き出すからじゃ、というツッコミはなしで…)。でも、調べたい分野の本がごっそり貸出中だったりすると、ものすごくがっかり。最近は近所の市立図書館でもWeb-OPACがあるんで事前に調べるけどさ。そりゃ、たまたま同時期に同じ事に興味を持つ人がいただけなんだろうけど、私がその本で必要としているのはほんの数ページなんじゃ、コピーしてすぐ返すからと訴えようにも当然その場ではどうしようもない。これが読み物だったらまぁ諦めもつくけど、内容によってはレファレンス資料として禁貸にしている範囲が狭すぎるんだよ、と自分勝手に毒づいたこともしばしばで。

 個人的な超わがまま意見はともかく、この様に資料貸出による他の利用者への不利益という側面は、図書館職員には認識されてないんじゃないだろうか、とは真剣に感じてます。上記のケースでは、じゃ予約するから返却されたら連絡頂戴、ついでになんでこれ禁貸じゃないの?などと申し出ない限りはそのニーズや思いというものは図書館側には伝わらない(多分予約しても伝わらないだろう)けど。
 貸出の意義としては、利用者がその資料を2週間なり3週間なり独占して利用できるということもあるのだろうが、その間に他の利用者は閲覧すらできなくなるというデメリットってあんまり認識されていないような。貸出期間は読み物読みを基準にそれだけ長期に設定されてるんだろうし、利用者の要望に応えるといって10冊も一度に貸すようになってしまってるけど(近所の場合)、資料の種類、内容にかかわらず(事典などレファレンスツールの禁貸は一応あるけど)それだけの期間と冊数を一人に独占させることに公共性(←適切な用法ではないかも)あるの?という疑問は常にあるのさ、あまり誰も問題と思わないだろうけど。本の隅から隅まで目を通す利用ばかりではないと思うんだよね…簡単に線引きはできないけど。

 図書館側からすれば貸出は統計的に貸出数が+1、閲覧で完結すると統計不能だし(コピー枚数は統計あるだろうけど貸出数に比べて重要度はかなり低かろう)、僕のように自力で調べるからレファレンスしないという利用ではレファレンス数すら計上されないので(本当は自分で調べられる利用者が増えてレファレンス数が下がったとすれば図書館の役割が果たされた証左なはずだけど、数字だけではそれは分からないわな)、そういう利用はあろうがなかろうが何も気にしないというのが本音なのかもしれないけど、本棚にその本があることによる恩恵を受けている者としては、貸出されない=利用されない、ではなくその効用も認識してほしいぞな、例えば開架でもICチップ管理で本棚から何回取り出されたか測定するとかしてさ。市町村立にはなじまない考え?…だけどさぁ、欲しい情報を欲しいときにという利用者のニーズに応えるという図書館の役割を果たそうというときに、貸出ってデメリットにもなるという視点を持ってる図書館職員ってあまりいない気がするんだよね、レファレンスから貸出に繋げるという意識は強いけど。極端な話、むしろレファレンスに対して紹介した資料って貸出しなきゃいけないの?部分的に必要なケースが大半だろうから、コピーして渡せば済むんじゃね?他の人から近々同じようなレファレンスあったらどうすんの?何週間も資料紹介しないままなの?と意地悪を書いてみたり。時代逆行するけど、せめて都道府県立は相互貸借以外は貸出しないという運営を強く希望なんだがな、本当の個人的には。貸出したからその資料は利用されている、万歳というだけの考えはあまりに短絡的じゃないかなというお決まりの結論でおしまいです。