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都立司書07年問題のコラム記事

毎日新聞 「記者の目:東京都立図書館司書の07年問題 木村健ニ」 (2006.11.23)

 例の都立司書退職問題と知事発言に絡んで。細かいところでひっかかる部分もあるが(ex.指定管理者制度は民営化ではないし、建物管理のみ指定管理業務としているところもある。また、指定管理者制度は建前として経費削減ではなく民間ノウハウの導入が主目的であったりする…)、総論としては分かりやすい記事で、暴君知事に対する反論としていい線いっているとは思います。

 まぁ、更に細かい部分では、いつものというべきか、司書の専門性についての説明は基礎的なレファレンス業務と海外の事例紹介程度なのは仕方がないかと思いつつ(だから「こうした司書の専門性を軽んじる行政の流れの最たるケース」という結論はいいとしてもその論拠が弱くなっているのだが)、日図協・常世田理事の「使われない本棚は死んでいる。よく利用され、司書の整頓が日常的に行われる本棚こそが生きている」という意見、知事発言に対するものとしたらそうだね、だけど、都立に対するものとしたら個人的には少々違和感が。都立なら「利用できる状態で保存している」状態が重視されるべきで、現状において「よく利用」されるかどうかをその評価に含めるのは少々危険じゃないかと思うわけです。「使われない本棚」が単なる「未整理な本棚」という意味なら同意しますけどね(揚げ足とりに近い意見だとは自覚しています)。
 後半の部分、須賀さんは「職員の退職で経験の積み重ねが失われ、サービスを開拓する職員を養成できなくなる」と危惧していますが、それに加えて私は今までの職員が十分に「サービスを開拓」してこなかったからこそ、すでに現状がこうなってしまっているのだとも考えます。「サービス水準の底上げを先導する責務」を都立に被せたところで実効性はもはやないと感じざるを得ない(本来は都知事に被せるべきだが更に意味がないわな)のは、本当に寂しい現実です。