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吉田初三郎と天皇

 東奥日報 「明治天皇の肖像画発見/八戸」(2006.7.14)

 吉田初三郎といえば鳥瞰図、と思っていたのですが、鳥瞰図で名声を博した後にもこのような肖像画を描いていたのですね。しかし初三郎の絵は、近年のブームを差し引いても貴重なものですが、そうですか、図書館書庫の奥から出てきましたか…(この場合、資料管理について言及するのは野暮でしょか?)

 初三郎の鳥瞰図といえば、『京阪電車御案内』の鳥瞰図が当時の皇太子(後の昭和天皇)の目に留まったことから一気に注目を集め、その後、大正天皇、そして昭和天皇即位の記念に京都の鳥瞰図を数多く刊行している。後に明治天皇の肖像画を描くというのも、このような天皇と深い縁にあった故なのだろう。

 初三郎の鳥瞰図は、多作な上に観光パンフレットという市井に広く流布する形態であったため、印刷物なら数多く現存し博物館や資料館などの展示でよく見かけるが(その代わり原画はあまり残らない運命に…)、私は「初三郎」か、「初三郎風」なのかを見分けるために凝視してしまうクセがついてしまった。時々、学芸員に不審な目、若しくはプロを見るような目をされてしまうが、何のことはない、私は地図の仕事をしていた頃を懐かしんでいるだけですから、放っておいてちょうだいな。