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本を読めばいい子になる…訳ないって

 ・朝日新聞 「「中学生はこれを読め」 書店主が推薦リスト、全国波及」(2006.5.6)

 最近は書店が色々な仕掛けをしてますね。特に子供に本を読ませるのは図書館の仕事、という考え方は持ち合わせていないので、図書館情けないなぁ、本屋ごときにそんなことされて、などという民間差別の混じった発想は微塵も湧いてこないのですけど、そもそも子供たちに本を読むように仕向けるのは図書館や学校の義務なんだろうか?とは前々からずっと考えているんですわ。

 僕が考える、(公共・学校)図書館や学校が子供に成すべき事とは、本を読めと中学生や高校生を洗脳することではなくて、小学生の間に本を読むか読まないかの自己決定ができるような教育をすることなんです。つまり、幼少期に一度は本との出会いを演出し、一般的な本の読み方をレクチャーする、そして本は図書館や書店にあると紹介し、図書館なら図書館の使い方をさっさと教える、というところまで。その後は本人の意思で読む読まないを決めさせて、読みたいと思う子供にはとことん付き合うのが本の教育なんじゃないかと。
 ま、現状を知る人達から見ると甘〜い考え方だと言われそうだけど、最近の「とにかく本を読め、本さえ読めばいい子に育つんや」という風潮には辟易していて、胡散臭さすら感じるようになってんのさ。読書って個人的な趣味の極みだという思いが根底にあるからなんだけど。だから、図書館が読書について全ての子供に教えるべきことは、基本的な本の知識と図書館の利用の仕方だけであって、税金使って子供に本好きを強要させるのには反対なんです。
 これって子供相手だけじゃなくて、大人相手にも同じ事言えるんですけど、ただ大人相手の場合は金があっても本買うのをケチってるだけの人もいるので(図書館で流行り物だけ読んでいるのは本好きではないと定義したいなぁ、個人的には)、一概に子供と同じ理論ではありませんけどね。

 記事に戻って、書店がこういうことをするなということではありませんよ。需要喚起という点で商売的には非常に正しい。ただ、こういうことを書店が中学生を対象にしているということは、学校や図書館が本の読み方、探し方をちゃんと子供に教えてこなかったからだという側面もある訳で(本は読めるけど自らの意志で読まないと考えている中学生がどれほどいるのか…)、そういう点では反省が必要なのだと思います。

tohru URL 2006年05月09日(火)20:27

毎日新聞「この人:児童書専門「杉の子図書館」代表・田口昭子さん /青森」(2006.5.8)
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/aomori/archive/news/2006/05/08/20060508ddlk02070058000c.html

 私立とはいえ、こういう運営方針が公立図書館にも必要なんじゃないか、と思う訳です。
 読み聞かせの仕方は教えるが、図書館が保護者の役割まで担うべきなのか、とかね。