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公共図書館は敷居の低い行政サービスポイントというアドバンテージを自ら捨てている

 それは公共図書館の役割ではない、という論で、貸出に繋がらないサービスを否定するという流れが、図書館界にはあるようですが、公共図書館は実に敷居の低い行政サービスポイントだという意識が、自らに全くないというのは、非常にもったいないと思います。

 市役所や県庁って何となく近寄り難くないですか?市役所の市民課など入口近くに窓口がある部署はそれほどでもないかもしれませんが、例えば土木課とか財政課に行くのって明確な目的があっても、少し身構えてしまいませんか?まして県庁なんて基本窓口なんてないし、職員も市役所以上に不愛想、部屋に入って職員に声をかけるのって勇気要りません?何せ県職員13年やっている私ですら、他課へ行って知らない職員と話するのは少し憂鬱なぐらいですから(笑)。その点、公共図書館へ行くってのは、非常に気軽なもんです。これが、公共施設の中で図書館が持っている一番のアドバンテージなのです。

 財政状況の厳しい中、公共図書館が生き残りにあがくのであれば、このアドバンテージを活かさない手はないはず。あらゆる行政サービスの窓口として機能を果たせば効果は抜群…って書くと、また色々と異論を挟まれるのでしょうが、これは別に図書館が市役所の支所になれっていう意味ではありません。単に役所との繋ぎ役を果たせばいいということです。もちろん、発展して役所以外のあらゆる所との繋ぎ役となれれば更に言うことなしですけど(生活相談、就職支援、法律相談、医療相談等々)、まずは困ったことがあれば図書館に行く、で図書館で解決できなくても他の専門家(役所の担当者、その他の機関の弁護士、医者etc.)を紹介します、というアピールは、非常に現実的でかつ市民、役所双方の公共図書館に対する株が上がると思うのですけどね。どうして、図書館サービスは全て図書館内で完結させなければならないという制約を勝手に付けて、そういうサービスを完全に否定してしまうのか、ましてせっかくこれまで貸出に励んで敷居を低くしたというのに、貸出に懸命な人達ほど否定的なのか、私にはよく分かりません。これは(自役所の部分に限れば)直営図書館のアドバンテージ、つまり指定管理者が実施するには非常に「敷居の高い」サービスでもあるのですがねぇ…