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司書課程科目における大学図書館の扱い

(注:半分フィクションにしてます…)

 先日、知り合いの大学図書館司書(K氏)から連絡あり。

K「あんな、あんた去年司書資格とったやろ?授業で大学図書館について何教えてもろた?」
T(tohru)「何やねん急に…えっと、概論で教科書に数行紹介されてたぐらいかなぁ…どして?」
K「いやな、いまうちの図書館司書の臨採試験のな、論述の採点してるんやけど、読めば読むほど情けのうなって…」
T「大学図書館について書かせたん?そりゃ、勤務経験なければ、司書ったってまともに書ける訳ないやろ」
K「でも、司書資格に必要な科目は文部科学省が定めてるやんか?その中で大学図書館についても触れなあかん科目があるはずやろ?」
T「そんなん、あんたのように図書館学を専攻してれば大学図書館や私立図書館についてもしっかり講義あるやろけど、普通の司書課程だと公共図書館の話ばっかやろなぁ…」
K「そんなもん?」
T「…と思うで」
K「なぁ、Tも書いてみーひん?恐いもの見たさで読んでみたいわぁ…」
T「俺が書いたら、あんたんとこの図書館をさんざコケにするやろから、一発不合格間違いないわ(笑)」

 …ま、公共図書館中心の講義になることは、しょうがないといえばしょうがないのかもしれないが、それ以外の館種を軽視する業界団体の教科書が幅を利かせてることと関係ないとも言い切れずか…本当は、学生にとっては一番身近な大学図書館こそ、体験を交えたいい教材になるはずなんだけど、実態はどうなのかしらん。

 いずれにせよ、司書課程修了しただけでは、公共でも学校でも最初は使い物にならないのは当たり前、せいぜい教えやすそうな子を採用して、しっかり教育してあげなさいな、というアドバイスで終了。こんなんでよかったんかいのう…

無識者 2006年06月26日(月)17:26

図書館法第4条第1項「図書館に置かれる専門的職員を“司書”及び司書補と称する。」※引用符投稿者

図書館法第2条「この法律において「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設で、地方公共団体、日本赤十字社又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人が設置するもの(学校に附属する図書館又は図書室を除く。)をいう。」

ということで,法律上,大学図書館に司書は存在せず,司書課程には,特に大学図書館を中心に扱うような科目はないということだったように思います。

tohru URL 2006年06月26日(月)22:28

コメントありがとうございます。
大学図書館の設置根拠は、国立学校設置法や学校教育法施行規則なんかであって、図書館法に基づく司書は存在しないというご指摘は法的解釈としては正しくて、確かに大学図書館を中心とした科目が存在しないのは当然なのかもしれませんが、実態として多くの大学図書館などの公共・私立図書館以外の図書館でも司書有資格者が職員として図書館運営に携わり、また公共図書館においても他館種との連携が業務上必要となってきている以上、司書資格を取得する課程において公共図書館以外の図書館についての知識も修得させるべきである、というのが本文の私の主張です。少なくとも、図書館概論で大学図書館の特徴や機能、そして今日的動向ぐらいには触れなければいけないのではないか、と。(推測ですが、図書館法における司書の定義を根拠に、図書館法に定める図書館以外については司書課程で触れない、ということでは多分ないと思っております。)
 余談かも知れませんが、現在の図書館法によれば、司書有資格がいなくても図書館設置条例さえ自治体で成立させれば公共図書館を名乗れる訳で、こうなると司書の法的定義というのも、何の意味も成していないというのが実際の状況だと思います。

無識者 2006年06月28日(水)17:28

たびたび失礼します。

『公共図書館においても他館種との連携が業務上必要となってきている以上、司書資格を取得する課程において公共図書館以外の図書館についての知識も修得させるべきである』という点は解らないでもありませんし,実際,公共図書館と大学図書館とでは同じ図書館という呼称でありながら,かなりの違いがあることも事実ですが,一つ科目を設けるほどの大きく本質的な違いがあるかと言えば少し疑問もあります。また,公共図書館どうしや大学図書館どうしでも館ごとの違いがあるでしょうから,どこまで「一般論」が成立するかも難しい点ではないでしょうか?

最低限必要な司書課程科目については図書館法施行規則に定められているわけですが,例えば著作権法を扱うと思しき科目がない(現に,そんな授業を受けた覚えがない。)など,こちらの方が優先されるべき問題かもしれません。

tohru URL 2006年06月29日(木)09:17

再度、コメントありがとうございます。
まず、私の文章表現が下手で申し訳なかったのですが、大学図書館や専門図書館について科目を興すべきである、というレベルまでの指摘ではなく(理想論ではそうあるべきだと思いますけど、現実論としては)、単に図書館概論や図書館サービス論などの既存の科目において、公共図書館以外についてもう少し踏み込んだ講義が必要なのではないか、ということが言いたかったのです。もちろん、そのような授業をしている講師もいるでしょうし、今回の受験者はその辺の授業は欠席していただけなのかもしれませんが…(詳細書けないのですが、今回の採用試験の論題は実に基本的なことだったようで、大学図書館の職員になりたい者がそんなことも知らないのか、ということだったようです。)
もっとも、公共図書館については十分かと言えば、全くもってそんなことはなくて、図書館学専攻の学生の実習を担当しても、中には「本当にあの大学で勉強してきたの?」というような程度の知識しかない学生もいた訳で、要は本人がどれだけ学校の内外で学ぶ気があるか、ということに行き着くのだとは思います(卒業後、図書館司書になった者も同じことですけど)。
現行の司書資格制度については、既に多くの問題点が指摘されているところで、よく言われる取得の簡単さ(アメリカなんかのライブラリアンとの比較)とそれによる司書職員の地位の低さや非常勤職員で賄われている現状などなど…問題山積状態です。著作権についても著作権法施行令第1条の3にあるとおり司書がいれば図書館で複写サービスしてもええよ、と言っているのに司書課程で著作権について大して学ばない、というのも大きな矛盾だと思います(司書よか著作権講習修了者の方がよほど著作権について詳しくなるでしょうに同等の扱いとは…)。これは著作権法の問題でもあるのですが。
そんな司書資格でも「資格がないよりはある人の方が図書館職員としてふさわしい」ことは事実ですが、司書資格が図書館のプロに足る人材かどうかの指標にはてんでなってない、と個人的には思っております。努力と経験の積み重ねでプロになっていくということは、どの職種でもそうでしょうが、司書については資格取得のハードルが低過ぎて単なる初期チェックポイントに成り下がっているのではないでしょうか。そうなったのは戦後の司書資格者乱造のあたりから色々原因はあるのでしょうけど…
この話題、本当は別エントリーに移したいのですがちょっと時間ないので、中途半端な書き殴りコメントで失礼しました。