No.178の記事

相互貸借と図書室の衰退

 毎日新聞 「図書購入費:地域の図書館、3分の2に減少 県立への「貸借」依頼増加 /福島」

 なんだか、相互貸借が後ろ向きに捉えられている気がする記事だなぁ…年6,000冊なんて少ない方じゃない?手元に統計ないから何ですけど。
 予算減で市町村立や公民館図書室が自前の資料で賄えないケースが増えつつあるのは事実なんでしょうけど、そんな時こそ県立を活用して頑張ってます、という前向き(「から元気」か?)な視点も記事に少し入っていればよかったなぁ、県立と市立の相互貸借は「やむを得ない」事業ではないんだからさ。

 それにしても、「県立図書館に入庫してから10年が経過した図書と資料を譲る「譲与」」って何だろう。古くなった図書室巡回の貸出用資料を譲渡ってことかしら。正直10年経った本を図書室に置いても、という気もするが、廃棄よりはよっぽどいいか。
 僕が図書室巡回へ行った時に聞いた話では、県が巡回して本を貸してくれてるでしょ、と財政担当者から図書購入予算を0にされたという悲惨なケースもあったし。記事の最後にあるけど、図書室の先行きを更に暗くしているのが、実は市町村合併。岐阜でもそうだったけど、図書館未設置町村を巡回して支援する事業だから、市町村合併で図書館のある市町村と合併したら、図書館設置市町ということで巡回しなくなるんですよ。で、合併先の図書館がちゃんと意識のあるところなら、図書室を分室にするなりしてちゃんと図書館サービスの拠点に位置付けてくれるんだけど、多くのところは「ほったらかし」。ということは、どこからも支援がなくなって、合併前より悲惨な状態になる、ということ。あぁ、ほんと悲惨。実は、以前に大学のレポートでちょっと知ったかぶってこの辺のこと書いたんだけど、市町村合併を経て旧図書室における図書館サービスが充実したのか、それとも衰退したのかを見れば、そこの行政(市町村)が図書館サービスをいかに捉えていたかが実によく分かりますよ。