No.215の記事

起こるべくして起こった紛失と思う

 高知新聞 「藩政史料原本を紛失 「功名が辻」推進協」(2006.8.24)

 色々考えさせられるニュースです。

 無くしたヤツが一番悪いのですが、敢えて図書館サイドを批判してみると、まず公務員(当事者は会社員かもしれないが)を信用していることがダメ(笑)。いやいや、冗談ではなくて、経験則から公務員には非常識なのが結構いて、貸したもの返さないなんてレベルのことはよくあったことなのだ。下手な仲間意識もたれてしまうと、ほんとダメダメなことされましたがな(高知県職員にはこんな事例もね…って岐阜県職員には言われたくない?)。まして、今回の相手は協議会という寄せ集め集団でしょ?名ばかりトップの知事名だからって、安易に信用しちゃだめだよね。知事へのご機嫌取りだとしたら、大失敗だわ。

 ま、一番の問題は資料の撮影ごときで貸しちゃったことだけどね。NHKの子会社(っつても実働部隊は更に下請けなんじゃないのかな?)に又貸しすることを聞いちゃいなかったと図書館は言っているけど、じゃあ目的は何だと把握していたのだろう?資料撮影だったら、館内に機材持ち込ませてやらせればいいのに何故貸しちゃったかな、謎だね。協議会の下請け業者の、東京から高知までの移動経費を浮かすが為に、こんなリスク犯すことになっちゃったよ、結果的に。それに、東京との資料やりとりだって保険掛けずに普通に郵送したんでね?いやぁ、少なくとも博物館だったら絶対に貸さないだろうね、学芸員的発想ではこんな利用目的で貸出なんてとんでもない話だもの。督促が期限の3ヶ月後というのもほんとお粗末だよ…

 ここでものすごくうがると、仮に博物館からの借用だとしたら、さすがにこんな扱いはしていなかった(博物館に保管=貴重品という考えで)のではないだろうか、図書館からの借り物だからこそ杜撰に管理していたのではとも考えられますね、普通の貸出本と同じという感覚で(もちろん、普通の貸出本だって丁寧に扱うのが本来であって、又貸しなんてとんでもないのだが…)。更に斜めに構えてみると、このように図書館の資料が消耗材として一般に捉えられているのは、長年の貸出至上の運営を行ってきた図書館に責任があるんじゃないのだろうか?(言い過ぎか?)ついそんなことまで考えてしまうのは、反貸出至上主義的思想が染みついているからかしら。でも、図書館資料が感覚的になめられていた結果の出来事というのは間違いじゃないと思うんだけどな。図書館の機能というものを外部的にも内部的にも再度考え直して欲しいぞな、やっぱり。保存機能は博物館や公文書館だけが担うものではありませんよ。