No.223の記事

またひとり…

 ・毎日新聞 「犬丸りんさん:飛び降り自殺か」 (2006.9.11)

 私の書棚にある本の著者が亡くなりました。中島らも、鷺沢萠…愛好する作家の死は、遠い親戚よりも悲しみが実感されてしまうが、自ら命を絶つ行為は作家の職業病であろうか(中島らもは自殺ではないが、自壊的な死である点でほぼ同義であろう)、それとも私自身が作品から精神的な同類性を無意識に感じ、書棚にそういう人達の著作を増やしていった結果のだろうか…
 自殺は人間の最低な行為であるという正論を吐き捨てることは、未遂者の私には未だ到底できないが、ただ言えることは自殺しようとする人はほとんどが精神疾患の状態にあるということで、行為の前に精神科に行き治療する猶予は誰かしら与えることができなかったのか、という点で勝手に悔恨の念を覚えてしまうのです。

 おじゃる丸が有名でしたが、この方のエッセイには独特の感受性とその感覚の表現に卓越したものがあり、誰もが感じながら言葉で表現しにくい感情を楽しむことが出来ました。ご冥福をお祈りいたします。