No.284の記事

「売るほど」余ったらしいで

 毎日新聞 「大阪府:刊行物の3割廃棄処分」 (2006.12.3)

 3割ねぇ…販売用だけの割合だそうですが、割合以上に1冊も売れない本を販売しているという感覚の方が問題かな。一般会計予算書を9,000円で買うのは誰だと想定してたのか?そもそも府民が予算書を金出して買わなければいけない理由は何なのか。予算なんて行政が真っ先に無償で情報提供するべき情報なんだし、そんなんネット上で電子ファイルで公開すればいいだけの話でしょうに。調べてないけど、印刷物が売り物だからと同じ内容の情報を敢えてネット公開しない、なんていう逆転した発想に陥り、結果として情報公開できていないなんてことも絶対起こっていると思うな。
 記事によると大阪府は直営で販売しているようなので(違っていたらごめん)、国のように○○協会やら財団法人○○というOBの天下り先に委託販売させ、それらが地方自治体や業界団体に押し売りして濡れ手に粟、というようなたかり構造でないだけなんぼかましだと思うけど、直営ということは販売価格は印刷に要した費用ということなのだろう(そうでなければおかしい)。それでも売れないものは、住民が金出してまで欲しくない情報(もしくは一部だけ必要な情報)なんだし、今売れているものもデータで公開すれば売れなくなる類のものもあるはずで、この場合は売れなくなっても販売用の印刷経費は発生しないので府も損しないし、住民も便利になるはずである。つまり、何が売れ何が売れないかのマーケティングが為されていない上に、販売という形態を重視するあまり情報公開という概念が働かなくなってしまったんじゃないか、と思うわけです。あと社会情勢の変化に対応できていないということか。行政情報もネット公開が主流になってきている訳だし、そもそも原稿だって職員がデジタルで作成したり、また業務用に印刷するなら印刷業者からデータでも納品させれば済む話なんだから。「まとまった部数を印刷せざるを得ない事情」ってのも理解不能。1冊あたりの単価が上がったとて、印刷部数が少なければそれだけ費用は少なくなるんだから。100冊より110冊印刷する経費の方が安い訳はない。販売用単価が高くなるのなら、それだけ売れないものなんだから販売中止にすればいいだけ。もちろんネット使わない人へのフォローは必要だろうけど、それこそオンデマンドで必要な部分を有償でプリントアウトしてあげればいいんじゃないだろか。
 しかし、一番の疑問はこのご時世にまだ売れ残り印刷できるほど印刷費が予算にあるということだなぁ。経験では財政難になって真っ先に切ったのは印刷費なんだけど。おかげで、地元の印刷業者は激減した官公庁の印刷費の奪い合いで単価が下がった、下がった…配布用の部数もどんどん減らして、代わりに電子ファイル公開にシフトしたんだけどなぁ。
 大阪府には税金節約と情報公開を一義に対応してほしいものです。