No.578の記事

書店が指定管理者になることから、直営の駄目さ加減を考えてみる

 ・タウンニュース「山内図書館 有隣堂への委託決定」 (2009.12.17)

 記事にもあるように、書店が図書館の指定管理者になることは普通にあることで、TRC以外の指定管理者としては、業種的には最も多い…かな。

 しかし、この記事を読んで?と思ったのは、指定管理者によって「レファレンスの専用デスク設置」が予定され、また綾瀬市立では既に「ボランティア活動の充実や図書館の書庫見学などの企画で市民から好評を得ている」というところ。これらの実施は、実は直営の方が相当有利な事項であると思うのですが、これが民間の指定管理者による成果になっている、と捉えられます(この記事だけで断定できませんが…)。

 私は、書店を指定管理者に指定するのは、公共図書館は本貸し業であるからして、新刊本流通と販売のノウハウを、図書館の新刊購入と貸出業務に活かしてちょうだい、というのが行政・首長・議会・住民の意図であると理解していたのですが、どうやら公務員有利の業務まで現状維持どころか「改善」しているということなのでしょうかね。

 そうなると、直営派から「人件費の削減により、優秀な司書を安定的に確保することが難しい」と言われてもさ、環境的に相当ハンディを背負った分野でも指定管理者に負けた「優秀な司書」達は、何が「優秀」だったん?となる訳で。新刊以外の資料収集?取扱に慎重を期するような資料保存?…違うね。彼らは新刊本を社会の人気に基づき購入し、何の工夫をしなくとも貸出予約が集中する本のバーコードをPCに読ませ、賞味期限が切れたら本を捨てる、それだけしかしていないかったんだよね(←あえて単純化して悪意を持たせていますが、概ね合っているかと)。そりゃ、書店にとって代わられますよ。

 いつもの繰り返しですけど、公共図書館って何?のそもそも論から話を戻し、それ以外の機能に目を向けない限り、直営維持は部分的にもありえません。指定管理者制度導入の検討にも、少なくとも直営有利な業務ぐらいは仮想(敵?)の民間業者に圧勝とならなければ、直営なんて望むべくもないですよ。まして負けなんて論外、もうお金貰ってするレベルの仕事ですらないんじゃないでしょうか。本屋は本屋でも、古本屋と勝負しなきゃ駄目なんじゃない?…というのは、冗談とも本気とも言えない戯言ですが。